オランダより愛を込めて――「フェルメールからのラブレター展」@渋谷Bunkamura

うちのカミさんは、アムステルダムで、フェルメールを見ている。(私は美術館には行かなかった。その代わり、レンブラント広場で「夜警3D」を見た)。

また、カミさんは美術館に行ってフェルメールの「ミルクを注ぐ女」に感銘を受けたという。私は偶然迷い込んだレンブラント広場で実物大の像で再現された「夜警3D」を見た。自分が「夜警」の中に入り込むことができるわけで、これも面白かった。
アムステルダム:地下鉄のない都会: [Diary BBS]

というわけで、フェルメールとカミさんの再会をはたすため、渋谷Bunkamuraへ。
ここにくるといつも、予備校の現国の教師が「Bunkamuraの綴りはよろしくない。あれじゃブンカミュラとしか読めない。Uを落としてBunkamraとした方がブンカムラと読める」と言っていたのを思い出す。まぁどうかな。しょせん外国語の音写には限界がありますから、「Bの前のNはM」なんて、変なルールなし、シンプルな方が私の好みですが、しかしあなたの名字と私の名字では、相容れない意見かもしれませんな、Tamra先生……。

フェルメールだから混むだろう、と早起きして開場とほぼ同時に会場に着いたにもかかわらず、すでに長蛇の列チケットをあらかじめ入手していればスムーズに入れたので、どこかでチケットを手に入れておくのがオススメ。カミさん曰くアムステルダムでは、フェルメールでもこんなに混んでなかったんだけど、とのこと。なんだろうねこの違い。

カミさんと取り決めたルールにより、美術館では常に購入したい作品を選定することにしている。私は比較的いい加減にいい絵は買おうとしてしまう(コレクター体質)が、カミさんは「いい絵だけれど居間には飾りたくない」とあくまでもコーディネーター的立場を崩さない。

今回、ヤン・ステーン、という作家がなかなか気に入った。風俗画家で、比較的ユーモラスに市井の生活を描いている。
ヤン・ステーン「老人が歌えば若者は笛を吹く」 – Google 画像検索

ライデン生まれのステーンは、デン・ハーグ、デルフト、ハールレムなど多くの都市で仕事をし、ユーモアのある風俗画を描くオランダ画家として最もよく知られている。人生を壮大な喜劇ととらえたような温かみと活気に満ちた作品は、肖像画や歴史画、宗教の主題、鳥獣画、静物画など多分野にわたる。1672年にはライデンで宿屋を開いており、宿屋や祭りの集まりを描いた作品も多い。多才さ、豊かな人物表現、独創的な構図に加え、鮮紅色やばら色、淡黄色、青緑色などの色彩感覚には特筆すべき技術がみられる。また、本展に出品の«生徒にお仕置きをする教師»をはじめ、子どもを描かせたら天下一品であった。
――会場パンフレットより

もう一つ、ピーテル・デ・ホーホ『中庭にいる女と子ども』も良かった。屋外を描いた明るさ、構図の面白さなど、いい雰囲気を出している。
ピーテル・デ・ホーホ「中庭にいる女と子ども」 – Google 画像検索

それにつけても、フェルメールの絵のすごさはまた別格。この時代の絵は印象派以前ということもあり、比較的暗い画面が多い。当時の住居自体があまり明るくなかった(電灯はなかったんだよ、もちろん!)ということもあるらしいが、絵の具の混色が普通だったため、明るい絵は描きにくかったはずなのだ。その中にあって、フェルメールの絵の明るさはどうだ。窓から入る光の表現が、実に見事。

経歴を見たところ、プロテスタントが主流のはずのオランダにあって、フェルメールはカトリックに改宗していたらしい。まぁ組合登録の都合だったのかもしれないが、私の好きな作家のチェスタトンがイギリス国教会からカトリックに改宗したのと奇しくも重なって興味深かった。

展覧会自体は、フェルメール3点を餌に、同時代のオランダを中心とした風俗画、特に手紙に関連する作品を集めて展示している。買い付けの都合もあって、一通り見たけれど、何せあまりに人が多いのでまっとうに見る気分にはなかなかなれないところが残念。やっぱり絵はゆっくり見たいよね……。

絵はがきを数点購入。パソコンの壁紙にしちゃおーっと。

WS001754.JPG

すげー贅沢な感じ……。

~2012年3月14日(水)
Bunkamura ザ・ミュージアム(渋谷・東急本店横)
午前10時~午後7時(入場は各閉館の30分前まで)
※毎週金・土曜日は午後9時まで(12月30日、31日を除く)
休館日 1月1日(日)のみ
03-5777-8600(ハローダイヤル)
→東京展 開催概要&アクセス | フェルメールからのラブレター展

オランダより愛を込めて――「フェルメールからのラブレター展」@渋谷Bunkamura

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