赤子を寝かしつける方法 第3回「眠れぬ者への眠りの贈り手」


さて、あなたは眠るのが得意だろうか?
実のところ、私は、眠るのが大変得意だったりする。のび太ほどではないが、夜はすとんと落ちて眠る。一方で、昼寝とか、眠るために自分をコントロールするという意味でも、割と得意である。自分がリラックスして眠れる条件を理解することは、眠りの第一歩なのだ。

世の中には眠りが不得意な人がいて同情を禁じ得ない。しかもそういう人が赤子を寝かしつけようと思うなら、これはなかなか難しいチャレンジになる。

自分が眠る方法はいくつかのコツがあって、これはこのエントリの本題ではないから端折るけれども、まぁ何回か練習すればたぶん、できる。
しかし他人を寝かしつけるというのは、またさらに一つ難しい技術である。自分が眠れる条件を理解しつつ、それを他人の上に実現する。外的要因を整えてあげるということだ。

ぶっちゃけ赤子に限らず、隣にいる恋人を眠らせることができるか、そういう話なのだ、これは。自分が心地よく眠れるのはどんな時か、あるいは寝にくいのはどんな邪魔がある時か、よく理解して、それを一つずつ実現していく作業である。

以下は比較的具体的な、私が考えている外的要因になる。しかしここだけ読んでインスタントな理解を得ようったってそうはいかないので、やはり前回、赤子を寝かしつける方法 第2回「赤子とつきあうために/対話篇」で書いたような思想を念頭に、赤子が安心してすやすや眠れるようにしてやる気概が必要かと思う。

◆光

大人の場合、光は無い方が睡眠にいいとされている。ぼんやり形がわかる、以上の明るい光は睡眠の質を下げる。しかし一方で大人でも「真っ暗だと不安で眠れない」という人がいるように、赤子だって真っ暗だと不安がって寝ない。

かといってあんまり明るいと刺激になってこれも寝ない。特に、蛍光灯が付いていると赤子は目で追う傾向があるようだ。以前、赤子は本能的に白いものを見る習性があると聞いた(ものの見かたの練習のためらしい)。だから、蛍光灯が直視できる場所は避けた方がいい。

私は、蛍光灯が見えない薄暗い部屋の隅へ行くか、自分の頭で陰にして蛍光灯が赤子の目に入らないようにしている。

◆音とリズム

落ち着かせるフェーズと、眠らせるフェーズがあるので、まずその二つを区別する。

赤子が泣いている時には、リズムよく縦に揺すって、気を紛らわせ、落ち着かせる。私は低く「ホッ、ホッ、ホッ」と声を聞かせながら上下に揺すってやる。安定感が大事だと思っているので、声の調子が変わったり、揺すり方の強弱が変わったりしないよう、単調なくらい同じ揺すり方をキープしている。泣こうが喚こうが、こちらはペースを崩さない。決して、赤子のペースに乗ってはいけない。こちらがリードなのだ。

泣いていない時は眠らせるフェーズなので、横揺れに移行する。ゆっくり左右の足に交互に体重を移しながら、長い声を聞かせる。「ン~~~~」のようなハム音か「ホワ~~~~」みたいなクリスタル・ボウルの倍音っぽい音が多い。

この眠らせるフェーズでは、私はよく鼻歌を歌う。たいてい即興だ。これは、私が音楽を愛する才能を音楽の神様に与えられているおかげなので、普通の男性にはちょっと荷が重いかもしれない。ゆったりと長い音をハミングするだけでもいいと思う。あるいは、クラシック音楽とか流してもいいかもしれない。ちなみに、既成曲で寝かせる際、個人的に一番好きなのは「ラ・ラ・ルー」だ。

落ち着かせるフェーズから眠らせるフェーズまで、リズムはリタルダンド(だんだんゆっくりと)を意識する。最初♪≒100(1分間に100回)で揺すっていたのなら、次は♪≒50(2倍の間隔)で背中をポンポンと叩き、最後には♪≒30、20といった具合で、どんどんゆっくりにしていく。これは赤子にはかなり効き目がある。

◆呼吸

入眠に関して大変効果があるのについ見過ごしがちなのは呼吸だと思う。

人を眠らせたい時には、身体を軽く密着させ、相手の呼吸を感じられるようにする(こちらの呼吸も相手に伝わるくらいに)。それから、こちらの呼吸を少しずつ長く深呼吸にしていく

人の呼吸のリズムを感じると、落ち着いて眠れる。これは自分でも他人でも、大人でも子どもでも変わらない。周囲の呼吸のペースがゆっくりになるのを感じると、自然と本人も呼吸がゆっくりになる。

赤子をあやし抱きながらずっと自分の呼吸を意識するのは難しいが、時々意識して呼吸をゆっくりにしてやると、赤子はコロリと落ちたりする。しめしめ。

sleep4

◆抱き方

私の抱っこの仕方が正しいか保証がないのだが、縦抱っこの場合は、例えば左腕をお尻の下に横に通し、左手を右手の肘に軽く引っかけて固定(筋力の消耗を抑える)し、右手を娘の脇の下から背中へ通している。まだ娘は首が据わっていないし、一応後頭部を支えないといけない。脇の下を固めて胸に押しつけるので、割と密着感はあり、安定する。

ここぞというところで試すのが横抱っこで、両肘を締めて自分の身体に軽く付け、娘の手が自分の脇の下に通るようにして、頭の下とお尻か太ももの下を下腕部で支える。下腕部だけで体重を支えるので若干筋力は使うが、肘が身体についているのでそれほど消耗しない。手の位置を少し入れ替えればそのまま布団に置けるので、いよいよ眠たそうになってきたところで横抱っこに移行することが多い。もっともうちの娘は横抱っこが基本好きでないので、泣かれた場合は潔く縦抱っこに戻る。これを繰り返しつつ、横抱っこに慣らして布団に送り込むのが最終目的である。

◆布団へのランディング

ここは男性有利の部分である。何せ布団ギリギリの低空を手の力で支えつつ、柔らかく下ろすにはかなり手の力が要る。女性にはちょっとキビシイんじゃなかろうか。

イメージして頂きたい図がある。部屋の中にはルパン三世1人。部屋の中央には台座があり、ちょっとでも台座に衝撃を与えると罠が作動するようになっている。しかしその台座に赤子像をおかなければ宝物庫のドアが開かない。慎重に、慎重に赤子像を台座の上に載せ、一本ずつ指をずらし、そっと手を抜く……。

というように、衝撃ゼロで赤子を布団の上に置くために、こちらとら本気であり、必死である。しかし見事赤子を布団に移し、赤子が泣き出さなかった時には「あばよとっつぁ~ん!」な気分が味わえる。


以上3回にわたって、私が考える寝かし付けを解説してみたがどうであろうか。
もしも何か参考になるご意見があれば、コメントなどでお聞かせ願いたい。
追記:なおこのブログのURLを旦那さんに渡して「かようにせよや」と下知なさる奥様もおられるかもしれない。ブログの宣伝という意味ではまことありがたいのだが、そうして旦那さんとケンカになる前に、どうか、奥様ご自身がこの方法を実践してみて頂きたい。
自慢ではないが、なかなか新しく身につけようと思うと、難しいはずである。

3件のコメント

  1. ピンバック:赤子を寝かしつける方法 第2回「赤子とつきあうために/対話篇」 - 74th Heaven

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