『マニャーナの法則 ~明日できることを今日やるな』 マーク・フォースター

友人が編集した書籍。外見はけっこうおちゃらけた感じだが、中身はかっちりしたタイム・マネジメント本。「クローズ・リスト」という思想を中心に、「確実に遂行する」ということを重視したタスク管理を提唱している。
タイトルの「マニャーナ」とはスペイン語で「明日」のこと。キャッチコピーの「明日できることは今日やるな」というのを見ると、よくある「この発想で乗り切れ!」的な精神論の匂いがするが、きちんと「明日やる」理由を理詰めで説明しており、「効率よく遂行する」ために「明日」になっているのだとわかる。精神論が入り込む余地はまったくない。
独特の、しかしシンプルな思想によって「確実に」「効率よく」を追求している。他のハック本にはない魅力があるので、一読する価値はある。


これまで読んだタイム・マネジメント本と一線を画しているのは、この本全体を通して一つの思想が貫いていることにある。それは「クローズ・リスト」という思想だ。

「すべきことをリストアップして、1つずつつぶしていく」という当たり前のような思想なんだけど、これをつきつめて一冊の本にしている。シンプルな思想でできているので、説得力がある。オープン・リストとクローズ・リストの区別が最初はわかりづらいんだけど、読み進めるうちに、なんとなくわかってくるので、投げ出さず読んでいただきたいかな。

マニャーナ(明日)である理由というのは、要するに、「ものごとはまとめて一気に処理した方がいい」ということ。少しずつタスクが増えたり減ったりすると管理しづらいし、集中できなくなり、効率も悪い。すべてのタスクは貯めておいて、明日一気にやる。そうすれば効率のいい順番も考えられる。集中してできる。それが「マニャーナ」の意図だ。

後半で紹介される「タスク・ダイアリー」「WILL DO リスト」なども、すべてこの「一気にまとめて処理したい」というシンプルな思想から導き出されていて、説得力がある。

あと、元がシンプルなシステムだけに、応用がきくのもいい。この思想さえきちんと身につけておけば、自分に合った形を考えることもできる。会社と自宅、2つにタスク・ダイアリーを分けて処理するとか、いろいろ自分流のカスタマイズができそうだ。そういう意味でも、『マニャーナの法則』の使い勝手はいいと思う。

僕もさっそく、手製のタスク・ダイアリーを作って、実践している。結局やっぱりタスクとしてつぶしきれないので、完璧にうまくいってるとは言い難いのだが……「明後日」はスペイン語でなんて言うの?

『マニャーナの法則 ~明日できることを今日やるな』 マーク・フォースター

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