たびたび(財布の許す限り)変わり種の周辺機器に手を出している私だけれど、トラックボールを試してみよう、という気持ちになったのは、やはり机の上が狭いからである。いろいろモノを置いてしまって狭くなっている。抜本的にはモノを置かないようにしてマウスを操作する十分なスペースを確保するべきなんだけれど、なかなかそうもいかない。とりあえず地上最高のマウスM705が壊れたので、たまには別のものに手を出そう……とトラックボールを探してみた。
いくつか候補を見たのだけれど、なかなか選定が難しい。というのもトラックボールを使っている人たちのこだわりが強いので、本当に使えないのか、それとも基準が厳しすぎるのか、レビューを見ても判断がつかない。レビュー記事を全部信じるとすれば、完全に満足できるトラックボールなど存在しないのではないか、という気さえする。
→ASCII.jp:私たち、トラックボールじゃなきゃダメなんです! (1/4)
Logicool M570tのような親指型のトラックボールは比較的評判もいい。特にM570tは価格とのバランスも良く、しかもワイヤレスということで候補に残った。
→マウスさよなら!トラックボールが快適過ぎてマジおすすめ!
ただし、これら親指トラックボールはすべて右手用だ。私としては、左手でも使えるというところは捨てがたい。右手でペンを持ちながら使えることの便利さよ。
そういうわけで、ケンジントンだけが残った。ポインティングデバイスとしては高価だ。だが一度とりあえずトラックボールの最高級品に触っておきたい気もするし。というわけで、意を決してポチッとやった。
仕様
Slimbladeは、4ボタンのトラックボールである。通常の左クリック、右クリックを左下、右下ボタンに割り当てるのは普通だと思う。ドライバによって左上、右上のボタンに機能を割り当てることができる。今のところ、なぜか特に必要を感じておらず、何の機能も割り当てていない。マウスに比べると、コントロール数が少ないので、もしかすると不便になったのかもしれない……が、ストレスは不思議とない。
スクロールホイールやスクロール用のボタンといったものはない。Slimbladeの最大の特徴は、ボールをひねるとスクロールするというところにある。これがむやみに気持ち良くて中毒性がある。
気になるところ
ドライバの挙動が気になる。Logicoolのドライバと干渉するらしいという噂は聞いていた。私のところでは、深刻な問題にはなっていないが、しかし標準のマウスパネルが書き換えられているところなどあまり気持ちのいい感じではない。まぁ実害ないんだけど……。
気に入ったところ
まず、ボタンが押しやすい。ボールを動かしている途中でさっとボタンに手をのばす。左下ボタン、右下ボタンともに適当に打鍵してもちゃんと当たる。そのため、ストレスなくクリック操作ができる。ドラッグ操作も難なく可能である。
なんといってもボールを捻るスクロール動作が気持ちいい。この気持ちよさは格別である。スクロールホイールのように中指でぎこちなく……というようなことがない。ポイント操作からシームレスにスクロールに移ることができるのは実に快適だ。
このスクロール、キチキチキチとかすかなクリック感があってそこがさらに快感度を増している。電源を切って操作してもクリック感がないので、どこかで制御しているのだと思うが、保持しているボール部分で制御しているのだろうか。どうやっているのかやや不思議だ。
場所をとらないかと言われたら、ちょっと微妙な気もする。Slimbladeは比較的デカいトラックボールだ。机の近くでけっこう広い場所を占領している気もする。
ただ、動かさないので設置面積を確保しやすいということは言える。書類をちょっと置いたらマウスを動かす場所がない……というようなストレスとは無縁だ。ビミョウなようだが、マウスだと、ついついやっぱり置いちゃうのだ、そこに。
掃除しやすいのもいい。ボールがさっと外せるので、たまった埃を毎日拭き取るようにしている。うちの会社はフリーアドレス制なので、どうせパソコンは毎日棚に片付ける必要があるのだ。
マウス以上? マウスと同等?
トラックボール信奉者が「マウス以上」と主張する利便性だが、私にはそこまでの利便性は感じられなかった。M705tの効率的に配置された多ボタンは、あれはあれで美しいし、意味がある。あくまでも、Slimbladeの感想は「マウスと同等」だ。私が次回どちらを買うかと言われたら、コスト差でM705tへ行くと思うし、人に勧めるのもM705tの方だ。8,000円は少し高い。
ただ、手首の負担がないこと、左右どちらの手でも使えること、スクロールの快感、などはSlimbladeのメリットだと思う。こういったニーズに8,000円払えるのなら、Slimbladeは間違いなく満足のいくトラックボールだと思う。
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