「世界一感動する」はさすがに盛りすぎだろう……という気がするけれども、財務についてまったく疎い私が、会社に「財務知識を身につけたまえ」と言われて手に取る一冊としては、わかりやすかった。これまでちょくちょくバランスシートやP/Lといったものはかじって学んでいたものの、ピンと来ていなかった。この本ではごく簡単な、小遣い帳レベルの出納を複式簿記の手法で説明することで、複式簿記がバランスシート、P/Lを生成する過程を学ぶことができる。
費用、資産といった辺りでちょっと直感的には「んん?」と戸惑ったものの、最後まで一通り読み進めることができ、ある程度理解したと感じられる。
私はこれまで「バランスシートって何と何がバランスしてんだよ」とか「バランスしてたら、利益増えたらどうなっちゃうの?」という辺りでイメージがわかなかったのだけれど、順を追って説明してくれて多少なりとも理解の糸口をつかむことができた。複式簿記というのも名前だけは知っていたんだけど、その仕組みについて概略を理解することができた。複式簿記とバランスシートがつながっているということがわかって成ル程!って感じ。
ストーリー構成は破綻している(おぃ)。最初、会計士のセミナー会場で始まる物語は、物語中物語「エッグランド」のおかげでブツっと切れてしまい、「あれあれ? 感動はどこに?」と思っている読者を置き去りにする。エッグランドのお話が終わると会計士の物語に戻ってくるので、さてはこの後さらにかつてない感動が……と思っている読者を置き去りに、あっさりストーリーは終わる。あれ、感動はどこに消えた? チーズは?
でもいいのだ。エッグランドの物語は、教材としてはよくできている。
なんでもこの筆者はその後、本書に登場する美女会計士を主人公にした小説をものしたらしい。Amazonで本書の新装板の表紙を見たら萌え絵になってるのは、そういうわけか……