ちょっとしてやられた感アリ。“ファンタジー”と聞いて行ってみたら、かなり血生臭いんだこの映画。「血を見る」なんてレベルではない。「肉を切らせて骨を断つ」みたいなシーンが比喩表現ではなく眼前に展開するので、僕のような小心者には正直辛かった。見ていてかなり消耗する。パンフレットやチラシのビジュアルの美しさにひかれて観に行くと後悔すると思うので注意。観た後の気分的はサイコホラーに近いかもしれない。スプラッターだ。
さて、では観客がそうした血生臭いシーンに耐性がある、と仮定した場合に、この映画はどうか? これはかなり映像的にも考えられていて美しく、いい映画だと思う。悲しく恐い現実と、暗く魅惑的なファンタジーとが交錯し、なんともいえないハーモニーを奏でている。主人公の少女オフェリアを演じるイバナ・バケロ(12歳)の熱演もいい。通好みの見応えある逸品。
アカデミー賞撮影賞・美術賞・メイクアップ賞受賞。2007年秋ロードショー。
■PAN’S LABYRINTH パンズ・ラビリンス
この無垢な魂が、世界を変える
1944年スペイン、自由無き暗黒の時代。
3つの試練を乗り越えるために、
少女オフェリアは<牧神(パン)の迷宮>へと向かう…
レビュー:★★★★
以下ネタバレ
名前からついつい映画『ラビリンス 魔王の迷宮
パンの中には映画やPV出演で有名なパントマイマー、ダグ・ジョーンズという人を起用しているそうで、そう言われて見るとなるほどマイムちっくで面白い動きをしている。非現実的な動きがなかなか良かった。
この映画、ファンタジーというか、観ていて気分の重くなるような戦争映画なんだけれど、観終わって悲しむべきなのか、喜ぶべきなのか、ちょっと悩んでしまった。映像の解釈によって、話の重みがまったく違う、と思うのだ。ここに描かれているのは救いようのない悲惨な結末と考えるべきなのか。それとも、救いようのない結末に慰めを見いだして喜ぶべきなのか。いろいろな論拠を検証した限りでは、たぶん、後者なんだと思うんだけど。
冒頭のシーンが印象的。血を流して横たわる少女と、不釣り合いな美しいハミング。その意味がわかる時には、きっとパンの迷宮があなたの心を捕らえていることだと思う。
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◆ノラネコの呑んで観るシネマ パンズ・ラビリンス・・・・・評価額1750円
◆映画/パンズ・ラビリンス 映画作品情報 – cinemacafe.net