カリスマ美容師は上海で道に迷い、女性タクシー運転手と知り合う。一晩のうちに二人に芽生える感情の動きを描く。
この監督は構図に凝るタイプなのかな。あちこちで凝った構図が見られた。平たく言ってしまうと上海版『Lost in Translation』で、強い影響を受けているふしがある。「誰もが人生の答えを求めて道に迷って(get
lost)いる」という台詞なども、話の中で必然性がないし、どうも『Lost in Translation』にひっかけようとしているのではないかと思う。
無駄にギャグでウケを狙おうとしたり、いろいろあらは目立つんだけれど、本木雅弘とヴィッキー・チャオが二人して頑張っている感じ。夜の上海をさまよう登場人物たちを並列的に追って、それぞれの物語を追いかけていくところは、映画らしい造りでいいと思う。
恋するヴィッキー・チャオは可愛いな、と素直に思ったが、調べてみるとこの時すでに31歳なのであった。え、いや、可愛いのは間違いないけど、そんな年齢には見えないな。ちょっとびっくり。
まったく言葉の通じない二人が、出会い、仲良くなっていくというストーリーは、たしかに『Lost in Translation』をもう一歩意欲的にした感じで面白かった。でも映画全体の造りでみたら、やっぱり『Lost in Translation』に軍配が上がると思いますけれど。
『夜の上海』ヴィッキー・チャオ、本木雅弘、竹中直人