タイの児童虐待に焦点を当てた衝撃作。児童売春、臓器売買などの犯罪にさらされる子どもたちを目の前にして、彼らを救おうとする人々の必死の行動と葛藤を描く。小説からの映画化。
◆闇の子供たち公式サイト
前半はそれなりに説得力がある映像なのに、終盤になって突然支離滅裂になってしまうのが残念。時間配分のミスであろうか。小説の方を読んでいないせいか、話が急激に崩壊に進むので、ついていけなかった。説明不足の場面が多すぎる(ちなみにDVDで終盤のチャプタータイトルを見たら「全て崩壊」だった。ハマり過ぎていて可笑しい)。
テーマとしては非常に重たい、タイにおける児童虐待の事例を描いている。映像にも説得力があり、痛々しい子どもたちの様子に胸が痛む。ちなみにネットでこの映画を「児童売春」の映画と書いているのを見かけるが、臓器売買のテーマもあるので、児童売春テーマの映画と書くのは片手落ちであろうかと思う。あ 「片手落ち」って良くない表現ですかね(映画が映画だけに細かい事に気を遣っちゃう)。
ネットでは賛否両論で、作品のテーマに非常にショックを受け高く評価をしている向きと、リアリティの無さを挙げて低く評価している向きとあるようだ。
たしかに、リアリティがなく、やや荒唐無稽なストーリーになってしまっている点は、ショッキングなシーンで客を煽ろうという欲が見えて正直好きになれない。また、映画の技術としても、終盤の説明不足や物語のちぐはぐさ(NGOをつぶそうという試みが成功したように見えるのに、突然NGO大勝利で終わる、等)が目立つ。その一方で、こうした児童虐待というのはおそらく実際に存在するだろうし、そうした暗部に目を向けようとした作品の意欲は評価されて良いと思う。
日本人役者陣が江口洋介、宮崎あおい、妻夫木聡と若くて活きの良いのが揃っており、(割と支離滅裂な脚本を)熱演している。