サイトアイコン 74th Heaven

最後の教室(No.234 越後妻有 大地の芸術祭2010.06)☆☆☆☆

20100606_103606.jpg

外観は普通の学校。その中に設けられたインスタレーション。
天気が恐ろしく晴れ渡った日に行ったので、展示室の中に入った途端、視力を奪われた。あまりに明るいところからいっきに薄暗いところに入ってしまったため、まるで目が慣れず、真っ暗なのだ。おかげで低いベンチに弁慶の泣き所をずいぶんぶつけた。それもこぶになるくらいガツンと。あまりの痛さに置いてかれそうになった。
帰りまでにはずいぶん目が慣れたので、入り口付近は戻って来てもう一度ちゃんと見るといいかもしれない。時間がたっぷりあるなら(そんな人はあまりいないと思うが)ものの形が分かるくらいじっくり目を慣らして先へ進みたい。
以下ネタバレ









体育室、廊下、生物室、音楽室、そして教室……薄暗い中に天井から吊された小さなランプの列を追って歩いて行く。奇妙な赤い灯りと、巨大な送風機、そして音と、ここが学校だったことを示す、さまざまなサイン。
なんかホラー映画的な世界。サイレントヒル的……って最近この表現使った気がするな。現代美術に多いのかそういうの。
理科室でガツンガツンと鼓動のような音が響いていたのがすごく印象的。つーか怖いよ? 一方音楽室はよくわかんない。あれのどこが音楽室なのだろう?
後になって気になったのがトイレ。2階のトイレは封鎖されていた。3階のトイレは男子トイレだけ空いていた。何気なく「あ、トイレだね」と通り過ぎたが、よくよく考えてみるとおかしい気がする。あれだけ念入りに2階は封鎖され、3階の女子トイレは釘付けされていたのに、なぜ男子トイレだけドアが開き、中に普通のトイレにありそうなモノが置かれていたのか? 恐れず中に踏み込むべきだったかもしれない。
教室には、白いシーツや机、いす、そしてケースに納められた蛍光灯たち……が不思議な世界を作り出している。亡霊の教室のようだ。
帰り、カミさんの家族が出口に行ってしまった後、たまたま私が体育室を出るのが最後になったので、独り取り残された形になった。体育室を振り返ってみると、「最後の」学校に、自分が一人取り残されたような、壮絶な感覚を覚えた。
誰もいないベンチ。揺れる電球、回り続けるスライド……ホワイトノイズしか写っていないのに。
大勢人がいて混み合う連休に来るのと、自分たちだけしかいないようなただの土日に来るのとでは、ずいぶん印象が違うだろうと思う。私は、願わくば、自分一人だけでぐるっと見てみたい。たぶん、所要時間20~30分かな。

「最後の教室」という名称に何か違和感を感じ、受付のところで英語タイトルを確認してみた。やっぱりだ。”The Last Class”を「最後の教室」とするのは誤訳ではなかろうか。「最後の授業」だろ?
☆☆☆☆ (感銘を受けた)
■場所

より大きな地図で 越後妻有旅行:ポイントマップ を表示
■Spec
作品番号 : 234
クリスチャン・ボルタンスキー+ジャン・カルマン 【フランス】
制作年:2006・2009年
料金:500円

■関連URL

最後の教室 – 大地の芸術祭の里

最後の教室(No.234 越後妻有 大地の芸術祭2010.06)☆☆☆☆
モバイルバージョンを終了