物語は、Dr.パルナサスという老人が率いる、冴えない大道芸舞台から始まる。移動式の小屋で公演を繰り返す彼らの演目の中心にあるのは、一つの鏡。その鏡の中にあるのは、二束三文のミラーハウス……かと思いきや。鏡の中に広がるのは、入った人間の空想力が繰り広げる世界。この鏡を挟んで、不老不死のパルナサス老と悪魔ニック(英語圏では「ニック」という名前自体が悪魔を示唆する名前の一つ)の賭けが始まる。
謎めいた語りだしに引き込まれる。ストーリーテリングがいい。少しずつ語り、全部を見せない。主人公もはっきりしない、群像劇というか、第三者の視点から。
> 撮影中にトニーを演じるヒース・レジャーが急逝、撮影が中断し一時完成が危ぶまれたが、彼と親交のあったジョニー・デップ、ジュード・ロウ、コリン・ファレルの3人が別世界にトリップしたトニーを演じることが決まり、撮影が再開された。なお、ヒース・レジャーの出演しているシーンはそのまま使われている。3人は、本作の出演料全額をヒースの遺児である娘マチルダ(当時2歳)に寄贈した。
Dr.パルナサスの鏡 – Wikipedia
そうなんだ……。
渾然としてまとまりが少なく、すっきりした爽快感とかないけれど、幻想的な映像あり、怪しい小道具あり、主演の豪華男優陣あり、シュールでクセの強いストーリーあり、何がなんだかわかんないけど面白い、というギリアムらしい作品に仕上がっていると思う。
『Dr.パルナサスの鏡』 テリー・ギリアム (監督),ヒース・レジャー, コリン・ファレル,ジョニー・デップ,ジュード・ロウ