カミさんに見せようとこのDVDを借りてきたら、たまたま新しいBRAVIA32インチで上映する最初の作品になった。BRAVIA到着記念映画。もがみオールタイム・ベスト映画の一つであり、テリー・ギリアム監督、ジェフ・ブリッジズ&ロビン・ウィリアムズ主演。
◆フィッシャー・キング – Wikipedia
人生の絶頂にあった、ラジオDJジャック・ルーカス(ジェフ・ブリッジス)。ある事件の3年後、人間恐怖症になってレンタル・ビデオショップでヒモ同然の暮らしを送るジャックの姿があった。落ちぶれた彼が暴徒に襲われかけたそのときに、助けに現れたホームレス、パリー(ロビン・ウィリアムズ)。パリーに命を救われたものの、イカレた会話を続けるパリーから逃げ出そうとするジャックだったが、パリーと自分との接点を知り、次第にパリーの人生に関わっていく。
「天罰が下っている(punished)と感じることがあるか?」というジャックの独り言が胸を打つ。罪の意識に悩み、自分を責めるジャック。それでいてこの映画はずんどこに落ちていくことなく、次々と起きる事件が客を退屈させない。
駅でのダンスシーンはまさに映画史に残る名シーンだと思う。見ただけで泣けるファンタスティックな美しさ。赤の騎士の造形と並んで、ギリアムらしさの真骨頂と言えそう。
劇中で語られる「フィッシャー・キング」の物語もなかなか含蓄が深い。
森の中で一夜を明かした王子の前に、精霊が現れ、聖杯を授けるという。聖杯が炎の中から現れ、王子はそれを取ろうとする。
しかし、権力と栄光の夢を抱き、神に近い不死身の人間になったような傲慢さを感じていた王子には聖杯を手にすることができず、炎の中の聖杯は消え、手に酷いやけどを負ってしまう。王子が成長するにつれて傷は悪化し、人を信じることもなく苦しみに絶望し死の床につく。
ある日、道化が迷い込み、相手が王とは知らず苦しんでいる男に声をかけた。王は彼に頼む。
水をくれ、のどが焼けるようだ。
男はそばにあった杯に水を見たして王に渡し、飲ませる。その水を飲んだとたん、王は痛みが柔らぐのを感じる。手に持った杯を見るとそれは長年探し求めていた聖杯だった。王は尋ねる。誰も探せなかったものをなぜお前が?
道化は答える。
おれはただあんたに水を……と思っただけだ。
――目の前にいる人間に手をさしのべる、その小さな行為の大切さを、この物語、そしてこの映画が教えてくれる。
そしてこの映画のプラトニックなキスシーンも、ハリウッド映画で一番可愛い、切ないキスシーンだと思うなぁ。
見終わって改めて最高の一本だと思った。いやー良かった良かった。昔感動した作品を今見ても変わらず感動できるというのは、なかなか幸せなことだ。
最近、あちこちの賞だとかなんとかの発表で、ジェフ・ブリッジスの消息をちょくちょく聞くようになった。もがみさん的には大変嬉しい。なんせ長いこと消息を聞かなかった。この映画以外、出番がないのかと心配していたくらいだ。久しぶりに写真で見たジェフ・ブリッジズは白髪交じりのいいおじさんになっていて、時代の流れを感じる。この映画の中では、若々しくてイケイケのニューヨーカーなのであるよ。
◆ロビン・ウィリアムズ – Wikipedia
◆ジェフ・ブリッジス – Wikipedia