時間堂12回公演とカフェ「月輝きながら太陽の照る」を観てまいりました。内容について詳細な感想を書くとしんどいので、最小限でご勘弁を。一応ひどいネタバレはしていませんが、公演をご覧になる予定の方は観劇が終わってからこのレポートをお読みになることをオススメします。
■Jikando Theatre Company
http://www.seriseri.com/jikando/
◆Gallery LE DECO共催 時間堂12回公演とカフェ
「月輝きながら太陽の照る」
2005年7月7日(木)~17日(日)
渋谷 LE DECO1
会場は小さなギャラリーと聞いていました。頭で想像していたよりも小さくて、小劇場の規模としても小型の部類に入るかもしれません。
公演のステージとなる部分は、ギャラリーの入り口から突き当たりまで、細長く展開しており、ちょうど通路のような感じです。
ステージの片側には3~4段のひな壇があり、そこがメインの客席ですが、ステージをはさんで反対側にも少しだけ客席が用意されており、役者はステージをはさむ観客にさらされることになります。「客席と舞台を対面させる」一般的な配置とは違った、意欲的な舞台配置ですね。席数で言うと、ひな壇におそらく20と少し席があり、対面側に6席ほど、入り口に近いエリアに椅子を置いて座る「準立ち見」的な席が数席。合わせて30席かそこらでしょうか。
突き当たり、つまりひな壇から見て左手側(上手側でしたっけ?)に、通路から90度曲がる形で階段があり、そこがほぼ唯一のはけ口になります。階段の上は別のフロアになっていますが、そこはほとんど使われません。対面側の6席や入り口近くの準立ち見席では階段で行われるいくつかの動作を観ることができませんので、ハンデになります。一応、主要なアクションが階段で発生しないようにはなっていますが。
幕はなく、暗転もありません。場面転換はなく、最初から最後までノンストップです。
公演はチケット代に1ドリンクが含まれていて、座ると注文を取りに来てくれます。ホットコーヒーは売り切れてしまったとのことだったので、赤ワインを頂きました。
内容については簡潔に。
途中までは普通のように思われた結婚式(後)の様子が、少しずつ、少しずつ歯車がズレていき、観るものにもどかしい違和感を引き起こしつつ、終盤に向かって収束していきます。笑いの要素はごく一部で、考える要素が大半を占めていたように思われました。
私は途中からいろんな要素について考えを巡らしてしまい、脳みそフル回転でああでもないこうでもないと考えた挙げ句、いずれも全部が的ハズレ、という結果に終わりました(苦笑) どうも素直じゃない性格が災いしたようです。深読みのしすぎ。
一緒に行った友人(♀)は素直に受け止めて大変楽しんだようです。いや、私ももちろん面白かったんですけどね。考え過ぎたなりに。
こうした反応の違いが、男性と女性の性別差によるもの……かどうかは、我々二人だけではなんとも言えません。
以下、ネタバレ風な所感を少しだけ。
古典的なコメディとトラジェディの定義によるならば、この作品はコメディでもあり、トラジェディでもあります。その「どちらとも割り切れない複雑さ」が、今日的・現代的な人間のテーマだと言うことができるでしょう。そんな複雑な“現代的事情”こそが、春子をして「結婚式じゃ物足りない」と言わしめるわけです。そういう点で、古典劇とのつよい対照性を感じ、まさにモダーンな演劇だなぁと思いました。