仕事人間のテッドは妻に家出され、7歳の息子と二人で生活を始める。苦労を重ねながらも生活を築き上げるが、突然戻った妻は「息子を引き取りたい」と訴訟を起こす。ハリウッド映画にしてはずいぶんと穏やかな視点で、離婚にまつわるドラマを描く。
以下ネタバレ。
原題は『Kramer vs Kramer』で、主人公クレイマー氏とクレイマー夫人の子供を巡る争いを主題にしている。
前半は母親が出て行った後の父親と子供の生活を描き、その後、戻って来た奥さんと親権を争うクレイマー氏の必死な生活を描く。
主人公のテッドも、奥さんも、子供も、いずれも相手の事を思いやり、不器用に、しかし一生懸命に幸せになろうと生活している。誰も悪者でない、という視点を貫いているところがこの映画の良さで、見た後で気持ちいい。
子役の演技がすごい。子供の繊細な表情がよく出ている。こういう子役の演技というのは、子役がすごいのか、それとも監督の技なんだろうか。
ダスティン・ホフマンはやっぱ若い頃も演技力があっていい男だ。メリル・ストリープ、『プラダを着た悪魔』できっつい顔だと思っていたけれど、若い頃からきっつい顔なのね……。
ラストシーンのさりげなさが良かった。「そこで切るか」みたいな。
『クレイマー、クレイマー』ダスティン・ホフマン, メリル・ストリーブ