『エドワードランディ』は、ゲームとして適当な割に超面白い、そして超ワクワクする冒険アクションゲームである。わけもわからないうちに最終ボス戦?に放り込まれてゲームが始まるという、これまでにない斬新さ。つかみはオッケー。
映画『インディ・ジョーンズ』の魅力に、正面から挑んだゲームといってよかろう。
→エドワードランディ – Wikipedia
→エドワード・ランディ EDWARD.RANDY(Arcade Normal) 2,442,863 pts. (1/3) – YouTube
■いきなりクライマックス!
前に紹介した『キャメルトライ』もゲームセンターでしか出会えなかったゲームだけど、それを言うならやっぱり『エドワードランディ』に触れないわけにいかない。
これを遊んだのは、大学生の頃、渋谷センター街にある「渋谷会館(正式名称は「渋谷会館モナコ」らしい)」の地下だった。50円のゲームが並ぶフロアである。そこにそのゲームはあった。ドット絵の雰囲気と、デモ画面の動きの面白さにひかれ「なんだかわかんねーけどやってみよう」という感じでコインを放り込んだ。操作説明がなかったので、操作も何もかも、コインを入れてガチャガチャやりながら覚えたのだったが、今にして思うとそういうゲームだなと思う。説明とか読まずに無我夢中で始めるくらいがちょうどいい。
ゲームスタート。
「いきなりクライマックス?」
そんな文字が画面に表示されたかと思うと、ホントにいきなり、複葉機の上で、群がり襲ってくる敵との乱戦になる。なんの前説明もない! 無我夢中で鞭を振るい、敵をはたき落としていく。しかもしばらく時間が過ぎると飛行機が画面端に流され始め、隣の複葉機にジャンプで飛び移らなければならなくなる。どんだけアクション映画なんだ! そんな中でも容赦なく敵は襲ってくる。さらに、滝壺にさしかかると、なんと巨神兵の親戚みたいなヤツが、複葉機に手を伸ばして襲ってくるのである。おいおいおいおい。ラスボスにしか見えませんが。
そういうわけで(?)、遊んでいた頃はタイトルを知らなかった。タイトル画面のロゴも、インストラクション・カードのロゴも目に入らなかったらしい。最初のステージで表示されるサブタイトル「いきなりクライマックス」がタイトルなのかと思っていた。
上記のように何もかも突然始まるのだけれど、各ステージごとに異なるゲーム性が用意されているのが面白い。飛行機あり、ボート上での戦闘あり、車でのカーチェイスありと飽きさせない。ゲームバランスとか適当な感じがイイ(笑) 各種ゲーム評でも「大味」と表現されている。だがそこがいい。どのステージも、鞭ふるって頑張ればなんとかなる(特に鞭にぶらさがってグルングルン回る大回転が文字通り無敵)。アクションが多彩で、自由自在に動かせるというのも楽しい。
演出・ストーリー構成の巧みさも素晴らしい。小説でも読者を引きつけるために「最高のクライマックスから書き出し、ある程度見せておいてから時間軸を戻して時系列で語る」という手法があるが、このゲームはまさにそれ。いきなりラスボス戦から始まり、回想を挟んで時系列で語るという方式でステージが構成されている。
渋谷会館に行くたびにコインを投入して、たしか、一度くらいはクリアしてエンディングを見たと思うが記憶が定かでない。そのときにコンティニューしたのかワンコインクリアだったのかどうかも覚えてない。そうこうするうち、いつしか、渋谷会館でもこのゲームを見かけなくなった。
■いきなり発売日未定!
大学を卒業してゲーム雑誌の編集部に就職してから、雑誌の発売予定カレンダーを見ていたらプレイステーションの発売予定ソフトに『エドワードランディ』という名前を見かけ、なぜかまったくわからないけれど、あの「いきなりクライマックス」だ、と直感した。エクシングがこの頃、この手の地味なアーケードゲームの移植を手がけていたこともあるし、もしかしたらゲーム中どこかで名前が表示されて、それを読んだのが深層意識に残っていたのかもしれない。ともかくこのプレイステーション版の発売を私は心から待ち望んでいた。ところがこのソフトはいつの間にやら延期され、「○月発売予定」から「発売日未定」に戻されてしまい、そして二度と戻ってこなかった。Wikipediaによれば、エクシング社の業績不振によって凍結されてしまったようだ。かえすがえすも残念なことだ。
ところで、私はときどき「OK!」とつぶやく口癖(さすがに叫びはしない)があって、自分ではテリー・ボガードの勝利セリフに由来すると思っていたのだけれど、先ほど『エドワードランディ』の動画を音声ありで見たら、エドワード・ランディが口走る「OK!」にも似ているような……いや元々二つのゲームが似てるのか…… 渋谷会館の地下で『エドワードランディ』の音声が聞こえたとは思えないので、たぶんテリー・ボガードの勝利セリフで間違いないと思うのだが……。あれ、『餓狼伝説』初めてやったのも渋谷会館の地下だっけ?
いきなり新ハード移植!?
2017-11-25(土)追記。
堀井氏: 言ってくれればなんでも検討します。ボクは『エドワードランディ』【※】がやりたい。 ※エドワードランディ 1990年にデータイーストからリリースされたアーケードゲーム。「いきなりクライマックス」、「冒険百連発」等のキャッチコピーが語る、『インディー・ジョーンズ』のようなハリウッド冒険活劇を彷彿とさせるアクションを楽しめる。
–via 『魔法大作戦』や『バトルガレッガ』…眠れる名作オールドゲームを現行ハードへ――“移植”の匠集団「エムツー」に聞いたゲーム保存事情【移植希望タイトル募集!】