「最後の教室」からほど近い旧道にある。近くに出来た新しいトンネルを使うと通り過ぎてしまうので注意。旧道に入る脇道は、けっこう見落としやすい。また、駐車場があるのかないのかよくわからなかったが、帰りに見たら普通に建物の入口の正面に駐車場の表示があった。
道から少し低いところにある民家がそれ。入り口からのぞき込んだだけで、あちこちに毛糸が張り巡らされているのがわかる。
家の内壁を黒い毛糸が覆いつくしている。「もう一つの特異点」が中空の一点に向けて爆発(集中?)しているのに対して、こちらは対照的といってもいいくらい、壁面に張り巡らされている。「蜘蛛の巣のように」という表現がふさわしいし写真もそのように見えるが、実際の見た目の印象は、蜘蛛の巣とは少し違う。太めの黒い毛糸の暖かみが感じられる。
壁面にはかつての生活を彷彿とされる器物も一緒に覆いつくされ、封印されている。
番をしていた男性がいろいろ教えてくれた。3~4年前までは人が住んでいたそうで、一番多かった時期で子供を含め8人暮らしていたらしい。ここは養蚕をしていた家で、2階が蚕のスペース。桑の種の重さを量る器具や、蚕の繭のようなものがからみついている毛糸もあった。
かつてここで生活していた人たちの記憶をたしかに感じさせるインスタレーションだった。
☆☆☆☆ (感銘を受けた)
■場所
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■Spec
作品番号 : 232
塩田千春 【日本】
制作年:2009年
料金:300円
家の記憶(No.232 越後妻有 大地の芸術祭2010.06)☆☆☆☆