奴隷がいたら便利だな、と思うが、同時に奴隷にされたら不便だな、とも思うので、奴隷はいけない。ロボットならいいかしら、というのがSFの見解である。詳しくはアイザック・アシモフ『はだかの太陽』参照のこと。
つまり我々の生産性は「自分の代わりにうまいことやっといてくれる」有能な何かを求めている。それが見つかれば、より効率よく生産性を高めることができる。それがロボットでいい。
お掃除ロボット「ルンバ」は、我々の代わりに掃除をやっといてくれる。その間に我々は別のことができる。これによって、二倍の生産性が得られるわけだ。全自動洗濯機だって、それを手助けしてくれる。そうしたら三倍になるかもしれない。自動処理というのは、同時にたくさんのことをこなしていくことを可能にする。
webサービスの多くは、快適な操作性によって自分の手間を減らしてくれる。情報のやりとりを楽にして、主人である我々に奉仕する。Googleカレンダーはメールで「そろそろ会議のお時間ですよ」と教えてくれるし、Evernoteは「ああその情報でしたらこちらに」と古い記録を持って来てくれる。Facebookは「お友達がこういう活動をなさっているようです」と耳打ちしてくれる。さながらよくできたロボットたち。
こうした各種サービスを組み合わせて、まるで司令塔のように、ロボットを動かしてくれるマエストロが「If this then that」。略して「IFTTT」だ。
IFTTTの活用原理は、その名前で見事に表現されている。「もしこうなら、ああやっといて」である。
「もしこういうタイトルのメールが届いたら、Evernoteに記録しといて」
「もし俺がブログ更新したら、Facebookで告知しといて」
「もしツイッターでフォローされたら、お礼のメールを送っといて」
各種のサービスに「トリガー(もし……)」と「アクション(やっとくこと)」がそれぞれ用意されている。
「Gmail」だったら、トリガーは「メールが届いたら」だったり「検索してこんなメールが来たら」だったりするし、「Twitter」では「フォローされた」「リツイートされた」「お気に入りに入れた」などがある。
アクションの方では「メールを送る(Gmail)」もあるし「ツイートする(Twitter)」もあるし「Evernoteに送る(Evernote)」もある。また、「届いたメールの題名と本文、それにメールの時刻をFacebookへ」といったように、文字を編集することもできる。
特に、Gmailの検索式との組み合わせを活用すると、いろんなことができそうだ。「添付ファイルが来たら」とか「スターを付けたら」とか、Gmailの無限の検索式を使えば、さまざまな指令をIFTTTに送ることができる。
また、URL短縮サービス「bit.ly」との連携も可能だ。おかげさまで、Wordpress(このブログ)からTwitter、WordpressからFacebookへの告知は、WordpressプラグインではなくIFTTTでしばらくやってみることにした。記事のタグやカテゴリを告知に含められるので、タイトル以外の情報も付けることができそう。
メールアドレスが1種類しか登録できないとか、Googleカレンダーも1カレンダーしか利用できないとか、いくつか物足りない部分もあるけれど、とにかくこの司令塔、できることが多い。しばらく使って、また面白い使い方が思いついたらご紹介したい。