されば今この書を手にせし汝は我が畢生の大作を手にせし者なり。滅びの力は望めば汝が手にあり。むなしく浪費するなかれ。当初の目的に反して呪文を用うることあらば、汝また悪そのものに食らわれ、自らの手の投じたる炎にて死なん。ゆめ忘るるなかれ、龍の汝に向かいて火を吹く時にのみ手を振りかざして唱えるべし。
エキル エリフ
エカム エリフ
エリフ エリフ
ディ マジオ
——スティーブ・ジャクソン&イアン・リビングストン『火吹山の魔法使い』(浅羽 莢子 訳)より
いつだって心躍るものは呪文である。そしてもしそれが本物の呪文で、本当に効果があるのだとしたら、そんな素晴らしいことってない。
ゆめ疑うことなかれ、本物の呪文は存在する。この世界にあって非常に希有ではあるけれども、魔法は卓越したストーリーテラーの手によってのみ、本物たりうることができる。
この『ゆめくい小人』もその希有な魔法書の一つである。
夜ごと、「まどろみ国」の「すやすや姫」を脅かす怖い夢。それを追い払うために、王様は一人旅に出る。そして地の果ての荒野で出会った生き物は……
エンデおとくいのメタ物語なわけだけど、子どもを怖い夢から守るため、是非与えておきたい魔法書の一つ。
呪文は実在する――『ゆめくい小人』ミヒャエル・エンデ
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