私が活動に参加しているパラサイヨでは、半年ごとくらいにフォト撮影会のイベントを行っている。写真家が家族の写真を撮影してくれるイベントだ。まるでモデルのような(まぁ写真家の前に立つという意味ではモデルなわけだが、職業的モデルのような、という意味で)写真を撮ってもらえるというのが人気で、公開後まもなく満員御礼になってしまう密かな人気イベントである。
→プロカメラマンによるフォト撮影会♪ – パラサイヨ
私はこのイベントにおいて意外と重要な役どころを担っている(ということが先日わかった)。何かというと、撮影アシスタントである。
写真を理想的な状態で撮影しようと思うと、いろいろと撮影者以外のサポートがあった方が便利なのだ。
- 子供を笑わせる
- 大人を笑わせる
- 子供の持ち物を預かる
- 通行人の交通整理を行う
自分でも少しは写真を撮る、というメンバーがこのアシスタントをすると若干スムーズなので、その意味において私は2代目である。ここ何回か担当してみて、家族撮影をしてもらう際に知っていたらもうちょっとスムーズにカメラマンに協力できるな-。というポイントがいくつかわかったので、ここに記す。
なお、ここに書かれていることをまったく知らない(というか抵触しまくっている)被写体だったとしても、写真家が撮る写真は、やはりプロクオリティである。
まず、被写体は、被写体である以上、カメラマンが何を望んでいるのかを知らなければならない。
◆「全員が最高の笑顔で笑って欲しい」
これはカメラマンならずとも分かっている。分かっているが、親子の関係というのは複雑なもので、つい親が子供をたしなめたり、叱り飛ばしたりして子供を不機嫌にしてしまうことも多い。むろん、親の責任とは関係なく、子供が勝手に転んで不機嫌になっちゃうようなこともあるので、結果はなんとも言えないが、少なくとも当日直前では、子供のご機嫌を維持しなだめすかしつつ撮影に連れ込む努力は必要になる。
親が協力できること: 「子供の機嫌を最高にもっていく(子供を叱らない)」「リラックスする/子供と一緒に笑う」
◆「カメラを見て欲しい」
被写体の視線に関する要求は、大きく二つに分かれる。「カメラのレンズを見て欲しい」場合と「カメラのレンズを意識しないでいい」場合だ。
特に「レンズを見て欲しい」場合、カメラマン側の理想は、カメラの、特にレンズをのぞき込んでもらうことである。できあがった写真を見るとわかるが、レンズを見ている視線と、カメラマンの頭や左右を見ている写真ではまるで印象が異なる。よそ見をしている写真に見える。そのため、アシスタントとしても、できるだけレンズの背後に子供の注意をひきつけるのが理想である。ファインダーをのぞき込むカメラマンの背後に立ち、カメラマンの左耳から右耳あるいはその逆へ、おもちゃを行ったり来たりさせると、子供の表情をカメラの直近にまで寄せることができる。
撮影経験のないアシスタントだと、レンズから離れた位置に注意を引きつけてしまいがち。同じことが親にも言える。親が子供の注意を引きつける力は、アシスタントよりもよほど強力だ。アシスタントがレンズの背後に注意をひきつけようとしている時に、親としては応援するつもりで脇から声をかけると、子供の注意はてきめん親の方に向かい、レンズから引き離される。子供だけを撮影する場合、親がカメラマンの背後にいることが一番望ましい。
しかしながら一個だけこの要求には課題があって、レンズの中をのぞき込んで心から笑える人間は、ちょっと異常だ。レンズを見ることと笑顔になることを両立させるのは難しい。(職業的モデルはそれをやるのだ)
親が協力できること: 「子供の注意をカメラに向ける」
一緒に写らない場合、「カメラマンの後頭部に回り込み、子供の視線をひきつける」
「(2歳未満の場合)お気に入りの玩具やキャラクター商品、音が出るもの(打楽器など)を持参する」ただし、必ずカメラマンの頭の後ろで振る。
◆または「カメラのレンズを意識しないでいい」
この場合には、カメラマンは子供が自然体でいることをのぞんでいる。被写体がカメラでない何かに集中している状態を撮りたいのだ。だから、子供の注意をひきつけることは得策ではない。
親が協力できること: 声をかけたりせず、じっと息を殺して気配を消すことである。
◆「親も子供じゃなくカメラに注意をはらって欲しい」
子供が親に注意をひきつけられるように、その逆もまた真である。親も非常に子供に注意を引きつけられる。その絶大なる引力は、カメラに視点を向ける場合は妨げとなる。こんだけ書いている私でさえ、自分の子供がいるとカメラに集中できない。しかしなら、視点をカメラに向けるべき瞬間は、子供が動いても騒いでも、カメラを見ているというのが必要だ。なぜなら、子供はもしかしたらその瞬間にも、カメラを見つめて絶好の笑顔を提供しているかもしれないからだ。子供がカメラを見ているのに、親が準備が整っていないために切れないシャッターは多い。
親が協力できること: 最善を尽くしてカメラを見ること。子供と一緒に見ること。しかも笑顔で。
こうしたことを知っておくと、もしかしたら、撮影される時に少しカメラマンの仕事を助け、いい写真を撮ってもらうことができるかもしれない。