ふくふくや『テキ屋の子供』下北沢駅前劇場

→テキ屋の子供
友人に誘われて観劇。小劇場演劇は久しぶり。

長兄を亡くしたテキ屋の一家にまつわる人間模様。いなせな後家の姐さん、女たらしの次兄、頼りない三男。身寄りのない兄妹は謝ってばかりの兄と虚言癖の妹。そして境内に住みついている「たろさん」。

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以下ネタバレ。

所感

シナリオ的に今一つのめり込めなかった。
見終わって何が原因か考えていてはたと気づいたんだけど、この物語は人情噺ではないのだ。むしろ現代演劇の不条理さで占められている。形式が人情噺なので、てっきりそういうものだと思い込んで見ていた。

人情噺の基本構造は「貧しくても苦しくても人情が大事で、それさえあれば最終的にはハッピーだよね」である。「人情礼賛」なのだ。一方この物語は人情礼賛どころではない。人情味ある人たちが転げ落ちてばったばったと不幸になっていくんだもの。
「不幸な人たちが人情ゆえに苦労して、結果不幸になる」のなら、「人情なんて無い方がよかったね」という結論になってしまう。その結論に共感を覚えるのはちょっと難しい。現代演劇としては「人間に起こりうる事象をリアルに描く」という評価もできなくはないけれど。

もう一つ、劇中で唯一の成果と言えるのが「三男坊の成長物語」という側面。ただ「俺たち一家はそういう不幸を糧に成長してきたんだから」と言うのはあんまり救いにならない気がする。4人中3人までを失うことで得られる成長を「いやーよかったよかった」というわけにはいかないのではなかろうか。

もう一つ、重要な仕掛けである「たろさん」の位置づけが今ひとつ浮いている。仕掛けの面白さを狙うにしては、webサイトの前口上でネタバレ気味である。もともと境内に住み着いている無力な存在ではあるのだけれど、せっかくなんだから何かもう少し活躍してもらいたかった。彼の発言は観客にだけ聞こえて登場人物には聞こえない、という状況ももう少し活かすことができそうな気がする。

総じて、前宣伝から小気味よい人情噺を期待した身としては少々しんどかった。

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ふくふくや『テキ屋の子供』下北沢駅前劇場

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