『歓びを歌にのせて』

田舎の村の聖歌隊を舞台に、一人の音楽家が村人の生活に引き起こす変化を描く。
スウェーデン映画。
淡々として心に染みいる。

以下ネタバレ。


主人公ダニエルは世界的なオーケストラ指揮者。キャリアの絶頂にあって心臓発作に見舞われ、引退を余儀なくされる。彼は自分が少年時代を過ごした田舎の村の小さな小学校を買い取り、そこで独り、生活を始める。
頼まれて、地元の教会の聖歌隊の指導を始めるダニエル。
どちらかというと神経質だった彼は、村人を指導する中で少しずつ人と触れあう歓びを取り戻していく。一方で、村人たちは聖歌隊という場にのめりこみ始め、衝突を繰り返しながら、互いを理解し、自分の問題に自分の意志で結末を選び取っていく。

田舎の村で、それまで押し込められ抑圧されていた、村人が抱える問題が、聖歌隊と歌を通して湧出するのは、いかにも実感がこもっていて、生活感がある。そうしたたくさんの生活を、並列して淡々と描き出すのは、またいかにもヨーロッパ映画らしい。
いくつかの問題は未解決のまま、まったく投げっぱなしで終わってしまっているんだけど、それは尺の都合でカットされたのか、それとももともとそういうつもりなのか。ハリウッドだったら酷評するトコだが、ヨーロッパ映画だとなんとなく許せてしまう。
最初ボロボロだった聖歌隊のハーモニーが終盤につれて美しく磨きがかかり、観客を感動させていく様子はなかなかよかった。また、単なる専門的な歌唱特訓ではなく「自分の響きを探すんだ」と個性を活かしていく主人公ダニエルの言葉も、共感を呼ぶ。

涙ボロボロというほどでもないが、見て不満を感じるほどのこともない。わたし的にはよくできた小品といった感じであろうか。
それなりに評価の高い作品のようなので、感性が合えば、たぶん美味しく頂けるのでは。

『歓びを歌にのせて』

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