開業の飲食店がすべきWebマーケティングとは(2020年)

とある、ベッドタウンで飲食店を立ち上げるという知人に、Webの相談に乗ってくれと頼まれた。それで、私なりに調べたり、普段Webを作ったり利用したりしている中で感じたことなどをまとめて、伝えることにした。

私はとある中小のSI企業に勤めるWebデベロッパーである。そういう意味では専門家とも言えるし、当節のWebマーケティングの高度化に鑑みれば、到底専門家とは名乗れない、とも言える。

市場規模と検索需要

まず考えるべきことはWebというより普通の市場原理である、需要があるか、市場規模はどの程度か、という考察である。熱帯で防寒具を売るのと寒冷地で防寒具を売るのとではおのずと話が違ってくる。

私が住んでいるのもベッドタウンだが、外食需要が少ないのか、頻繁に飲食店が入れ替わる。こういう場所では検索需要そのものが少ないので、SEOができることにも限界がある。ことによると「ない需要を掘り起こす」ことも考えなければならない。ターミナル駅から一駅近く離れているのに、サイト名にターミナル駅を含めたがるのはターミナル駅の検索を呼び込みたい姿勢の現れである。

競合、競走も事前に考えておくべきだ。寡占であれば悩みは少ないが、競合が多いようなら、SEOを丁寧にやる必要が出てくる。

グルメサイトを巡る現況

大手は資本をかけているので、個人サイトがグルメサイトのSEOの強さに勝つのは難しい。店名で検索された場合はともかく、「焼肉」とか「ランチ」などの一般名詞ではグルメサイトに勝つのは難しい。個人的にあまりこうしたサイトに費用をかけたくないが、マイナスになるレビューには注意しておかないといけない。(マイナスのレビューが付くと、お金をかけないと解決できない場合がある)

Google マイビジネス(Googleマップ)は強力になりつつあるので、きちんと設定すべき。MEO(Map Engine Optimization)という単語もある。具体的に何をするのか私もよくわからないが、とりあえずGoogleマイビジネスに登録するのはやっておいた方がよさそう。ググればたくさん情報はある。これもレビューに丁寧に応対すること。

インバウンドを狙うならFoursquareやTripAdvisorなど英語系のサービスを重視する手もある。

ブログとSNS

コンテンツには「ストック(固定コンテンツ)」と「フロー(流動コンテンツ)」がある。ストックは店舗情報などあまり変わらないもの。一方「今週のランチメニュー」のように、時間が経つと価値がなくなる記事はフローと言える。

ストックコンテンツは何かしら用意した方が良い。webサイトでももちろんいいが、メンテナンスの手間や費用対効果を考えると、Facebookページだけでもいいのかもしれない。Facebookページは、フローコンテンツも持たせることができるので使い勝手が良い。

フローコンテンツについては、コンスタントな更新ができないならやらない方がいい。もし途中で更新をやめてしまった場合は、古い投稿で更新が止まっているのを見られるよりは削除した方がいい気がする。サイトが更新されていないと「本業も停滞しているかも?」という印象を与えてしまう。

もしコンスタントに続けられるなら、フローコンテンツはSEO上で強みになる。

また、最近は、SNSに比べて個人サイト/ブログの重要性は下がっている。ポッと出た個人サイトのフローコンテンツが人に読まれることはないと思った方がよさそう。存在感を出すならよほどコンテンツを充実させ、コンスタントに更新しなければならない。

SNSでは、Twitter 、Instagram、Facebookの3つがメイン。性格の違いを理解し、どれが自分の業態に合っているかを考える。非常にざっくりと以下のような感じ。

  • Twitter……140文字という文字数制限もあり、シニカルなコンテンツ、おもしろコンテンツがウケる。うかつなことをすると炎上しやすい。
  • Instagram……比較的若年層にウケがいい。見栄えのいい写真が重要。海外からの反響が比較的ある。撮影用に見栄えのいいドリンクやフード、撮影用フリップなどあると良い
  • Facebook……Facebookページという、業務コンテンツ向きの機能があるため、ストックコンテンツも置ける。Instagramと経営母体が同じなので連携しやすい。比較的年齢層は高め。

レビューへのコメント対応を丁寧に行うのはグルメサイトやマップサイトと同じ。

繰り返すが、コンスタントな更新ができないならやらない方がいい。始めたら、週1回、月1回でもいいから続けること。

「店主ブログ」的なことをやりたいのであれば、はてなブログかnote辺りを検討しても良いかもしれない。

具体的な作業

以下、優先順位の高そうな順番。上から全部やるというより、自店舗にあったものを選ぶ。

  • 店舗の宣伝材料を確保する。正式な店名、ロゴ画像、お店の魅力/強み、写真、イメージカラーなど。店名、住所の表記など常に統一すること。
  • Google マイビジネス(Googleマップ)に登録する。できるだけ詳しく情報を入れる(ストック)
  • Facebook ページを作る。(ストック+フロー)
  • Instagram アカウントを作る。(フロー)
  • Twitter アカウントを作る。(フロー)
  • Webサイト を作る(ストック)
  • ブログを作る(フロー)
  • コンスタントに長期間更新できるフローコンテンツを決める。お店の更新情報、お役立ちコンテンツ、お楽しみコンテンツなど。
  • お客さんにSNSでフォローしてもらうための仕組みをつくる(QRコード、特典など)
  • お客さんがGoogleマップやグルメサイトにレビューを書きたくなる仕組みをつくる(QRコード、特典など)
  • 記事をシェアしてもらえる仕組みを作る(撮影用フリップなど)
  • お客さんに時々見てもらえる仕組みを作る
  • 書き込みやレビューにはできるだけ返信をつける
  • 情報は、ストックでもフローでも、地名、日時などできるだけわかりやすく具体的に書くよう心がける
  • SNSで地元の他のお店を探してフォローする
  • SNSでフォローしたお店にいいねをつける

フローコンテンツの例

いずれの場合も写真が重要。最近では動画コンテンツも重要だが、動画活用は私に知見がない。

  • 標準メニュー、おすすめメニュー紹介
  • 新メニュー、日替わりメニュー、期間メニュー紹介
  • 仕入れ紹介
  • お客さんの写真
  • 地元のイベント情報
  • 異業他社の紹介
  • 日記的なコンテンツ。人柄、店の雰囲気がわかるもの

予算感

例えば、私が自分で構築するとして実費。感覚値だから実際はもうちょっと違うかも。

  • 独自ドメイン維持費 およそ3,000〜5000円/年
  • レンタルサーバー維持費 600円/月〜
  • SSL証明書維持費 0〜/年
  • WordPressデザインテーマ 0〜50,000円

独自ドメインが必要かどうかは微妙。要するに「プロっぽさ」「見栄え」の問題のように思う。店舗の格に合わせるのが一つの目安か。店舗が素人感満載なのに独自ドメインにこだわっても……という気がする。

SSL証明書は今は必須。サーバーによっては無料で維持できるところもある(さくらインターネットなど)。

次に挙げるのは実費以外の作業費で、私が知人のために作業するとしてお友達料金。「お友達」の基準は何か大きなミスがあった時に「ほんとごめん」で済むかどうか、かな……

  • 写真撮影 (jpegデータ渡し) 20,000円/日
  • WordPress初回デザイン調整 0〜30,000円
  • WordPress管理費(メンテナンス、簡単な機能追加) 30,000円/年
  • 機能追加 応相談 別料金

撮影はあまりやりたくないけど無料で引き受けるには重すぎる。プロの方でも安く撮って下さる方がいるので、私が20,000円も撮るのは暴利感あるが、それ以下だとしんどい。

ちなみに、撮影は別にして、業者でまっとうにWordPressの設計・デザイン・構築までやると初期費用30〜50万万円くらいが相場だろうか。探せばもうちょっと安く引き受けてくれるところはあるかもしれない。

SNSなどの広告宣伝費用は上限知らずだし、費用対効果が今一つ確証持てないので、私は対応できない。

参考

・内観写真
・外観写真
・商品写真
・サービス内容がわかる写真
・メニュー写真(飲食店など)
・共有エリアの写真(温泉や温泉など)
・スタッフの写真

開業の飲食店がすべきWebマーケティングとは(2020年)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です