『パンズ・ラビリンス』主演:イバナ・バケロ 監督:ギレルモ・デル・トロ

ellabirintodelfauno01.jpg『パンズ・ラビリンス』(原題『El Laberinto del Fauno』)試写会に行ってきた。
ちょっとしてやられた感アリ。“ファンタジー”と聞いて行ってみたら、かなり血生臭いんだこの映画。「血を見る」なんてレベルではない。「肉を切らせて骨を断つ」みたいなシーンが比喩表現ではなく眼前に展開するので、僕のような小心者には正直辛かった。見ていてかなり消耗する。パンフレットやチラシのビジュアルの美しさにひかれて観に行くと後悔すると思うので注意。観た後の気分的はサイコホラーに近いかもしれない。スプラッターだ。
さて、では観客がそうした血生臭いシーンに耐性がある、と仮定した場合に、この映画はどうか? これはかなり映像的にも考えられていて美しく、いい映画だと思う。悲しく恐い現実と、暗く魅惑的なファンタジーとが交錯し、なんともいえないハーモニーを奏でている。主人公の少女オフェリアを演じるイバナ・バケロ(12歳)の熱演もいい。通好みの見応えある逸品。
アカデミー賞撮影賞・美術賞・メイクアップ賞受賞。2007年秋ロードショー。
■PAN’S LABYRINTH パンズ・ラビリンス

この無垢な魂が、世界を変える
1944年スペイン、自由無き暗黒の時代。
3つの試練を乗り越えるために、
少女オフェリアは<牧神(パン)の迷宮>へと向かう…

レビュー:★★★★
以下ネタバレ


ellabirintodelfauno02.jpg1944年、内戦に明け暮れるスペイン。夢見がちな少女オフェリアは、臨月の母と共に山間の村に向かう。母の再婚相手ビダル大尉は、残忍で冷酷な軍人で、ゲリラと疑わしい者は片っ端から射殺するような男だった。頻繁に戦闘が発生する山間の駐屯地で、オフェリアは妖精に導かれるまま森の中に迷い込み、パン(牧神)に出会う。パンはオフェリアのことを「地底の王国のプリンセス」と呼び、幸福な地底の王国に帰るため3つの試練を越えるように言う。彼女はパンの言葉を信じ、家人の目を盗んで試練に立ち向かう。しかしその間にも、過酷な現実、激しい内戦が彼女を巻き込んでいく。
名前からついつい映画『ラビリンス 魔王の迷宮』をイメージしてしまったのも、不意打ちをくらった原因の一つだった。こちらはジム・ヘンソンが監督し、ジェニファー・コネリーやデビッド・ボウイが出演したファンタジー映画で、ハラハラドキドキしながら明るくシンプルに楽しめる。でも、この『パンズ・ラビリンス』はもう、まったくテイストが違う。現実世界の過酷さと背中合わせのファンタジー。彼女は、3つの試練だけではなく、過酷な現実とも戦わなければならない。戦争の狂気の中で、次々と死んでいく人々。逃れようのない戦争の中で、彼女はパンの試練に希望を見る。
パンの中には映画やPV出演で有名なパントマイマー、ダグ・ジョーンズという人を起用しているそうで、そう言われて見るとなるほどマイムちっくで面白い動きをしている。非現実的な動きがなかなか良かった。
この映画、ファンタジーというか、観ていて気分の重くなるような戦争映画なんだけれど、観終わって悲しむべきなのか、喜ぶべきなのか、ちょっと悩んでしまった。映像の解釈によって、話の重みがまったく違う、と思うのだ。ここに描かれているのは救いようのない悲惨な結末と考えるべきなのか。それとも、救いようのない結末に慰めを見いだして喜ぶべきなのか。いろいろな論拠を検証した限りでは、たぶん、後者なんだと思うんだけど。
冒頭のシーンが印象的。血を流して横たわる少女と、不釣り合いな美しいハミング。その意味がわかる時には、きっとパンの迷宮があなたの心を捕らえていることだと思う。


■トラックバック送信先
ノラネコの呑んで観るシネマ パンズ・ラビリンス・・・・・評価額1750円
映画/パンズ・ラビリンス 映画作品情報 – cinemacafe.net

『パンズ・ラビリンス』主演:イバナ・バケロ 監督:ギレルモ・デル・トロ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です