往年の特撮やアニメ大好きな星里もちる先生が満を持して?送る特撮怪獣スペクタクル漫画。従来のトレンディドラマ路線を緩めておたくウケするネタに回帰気味の傾向が見えるが、それが効を奏したというか、少し調子を戻して一息ついた印象がある。
以下ネタバレ。
ひとことで言っちゃうと「女の子二人と同居することになっちゃった」というありがちな設定ではある。
怪獣映画『ガルル対メカガルーシャ』が物語の軸。新人の主演女優ゆきと怪獣マニアの女性あめの二人が、それぞれ映画の「本編(人間ドラマ部分)」と「特撮(合成画面部分)」に対応し、主人公を巡る淡い三角関係を繰り広げる。
ただし物語の主眼は三角関係ではなく、怪獣ネタでもなく、主人公の抱える深い苦悩と絶望にある。無力感を抱えて自分を責め続ける主人公と、なんとかそれに関わっていこうとする女性二人。ある意味、主人公の巨大な苦悩を巨大な怪獣に見立てれば、協力して怪獣に果敢に立ち向かう女性二人の物語だとも言える。
ここのところ星里もちるはシリアスな追い込み型の話の割合が多い。
私が期待している暖かいユーモアが少なくてちょっと残念。全体にコメディタッチのものの方が私は好きなんだけど。
ところで作品中で制作される怪獣映画の主役、超空怪獣ガルル。星里もちるファンにとっては喝采して喜ぶキャラクター。星里もちる作品のあちこちに顔を出すマスコットキャラクター的存在なのだ。
私が知る限り一番古いのは『危険がウォーキング』。カンガルーの着ぐるみ「ガルルちゃん」として、幼児向けソング「カンガルーは怒っています。」のダンスを踊っていた。ガルル目覚ましも過去の作品中で登場したことがある。
あの過激で可愛いガルルちゃんが、こんなにもたくましくなって……と嬉しい気持ちになったのは私だけじゃないと思うんだがどうか。
(2006/03/19)