川越にある笛木醤油の見学に行ってきました。
→笛木醤油「金笛」: FUEKI SYOYU BREWING `KINBUE` |
川越駅から「川越02」系統のバスに乗り「伊草学校前」下車。バスを降りるとすぐに大きな看板が見えます。
あとはGoogleマップとにらめっこ……で、無事到着。
お店の前で受付が終わると、社員の方(後でわかったのですが、社長さんだそうです)が「2階の会議室を空けておりますので、そちらでお待ちください」と案内してくださいました。
会議室にはリーフレットが置かれていました。
基本理念も貼り出してありました。「メメント・モリ」(ラテン語で「死ぬということを忘れるな」で、人生は短い、やるべきことをやれ、の意味で使われる)。
社長さんがおいでになってご挨拶。今回、笛木醤油としては初の見学会の試みということだそうです。また「うちはどこでも写真撮って頂いて大丈夫ですから、よければSNSでシェアしてください!」と太っ腹。ブログ書きとしては助かります。
会議室でまずはビデオ。醤油の基本的な作り方について、説明を受けました。
その後、実際の工場へ。
工場見学
まずは倉庫。敷地内にはいくつか古くから残っている蔵がありますが、ここもその一つだそうです。温度管理などのため、中には入れませんでしたが、入口からちらりとのぞくことができました。
こちらの青い袋に入っているのが塩。豆と塩がほぼ1対1なんだそうです。
今回の仕込みに使う木桶。大きな木桶で豆と塩を混ぜます。ただこうした木桶職人も高齢化・後継者不足が進んでいるとのことで、笛木醤油では昔ながらの製法を守るために自社内製の試みを進めているとのこと。木桶職人の方に教えて頂きながら作っているそうです。たしかに道具がなくなっちゃうんじゃ、困るもんなぁ。
こちらにあるのは既に仕込みが終わっているもの。
こちらは古い蔵で、東日本大震災の時にやや崩れてしまったとのこと。今はまだ復旧準備中。
ここが38個の木桶を発酵させている現場。ここで醤油を発酵させる。
麹の味見もさせてもらいました。味が深い。
菌類は非常にデリケートなので、通路側と通路から離れた側では発酵状況が少し変わるそうです。また、納豆菌は非常に強いので厳禁とのこと。感染?すると醤油がすべて納豆に変わっちゃうらしい……。
この部屋には、近在の小学校の生徒さんからの御礼状も展示されていました。地産地消ということで埼玉の材料を使い、地元の学校の給食に卸す一方で、見学なども受け入れているとのことです。
ここに積まれているのは麹の絞りかす。薄く畳んで積み上げ、そこから醤油を絞り出すのでこんな薄い板状になるのだそう。一応食べられるそうです。何か有効活用できないか……ということで模索中とのこと。
仕込み体験
仕込み体験。今回は小川町青山在来大豆という豆を使って仕込みます。
木桶に大豆と塩を交互に入れて、大きな棒でかき混ぜます。子供優先で混ぜ混ぜ。けっこう力がいりそうです。
希望者みんなでよく混ぜた後、木桶に記念の書き込みをどうぞ、ということで皆それぞれに。
私は「この桶美味なり」と書かせて頂きました。『月下の棋士』よろしく「この者将来の名人なり」と書きたかったのですが、「将来の名醤油なり」では語呂が悪すぎて。
お土産
解散した後、お店にも立ち寄ってみました。
おせんべい購入。
醤油は金笛と生醤油を購入。昔は銀笛、銅笛もあったようですが、今は金笛だけなんだそうです。
まとめ
帰り際、社長さんがおられたので、立ち話しましたが、今回仕込んだ醤油ができるのは来年になるとのこと。できあがったらお知らせしますよ! とのことでしたので、仕上がったら勇んで買いに来ようと思います。自分が仕込んだ醤油なんて、これは絶対気になる!
それは来年の楽しみにとっておくとして、とりあえずまず、買ってきた二本の醤油を自宅でまぐろにつけて食べてみました。
金笛はちょっと紅みがありますが、再仕込生醤油の方はだいぶ濃い色合いをしています。黒に近い感じ。
食べてみると、金笛はなじみ深い醤油味です。生醤油は塩味が控えめ、甘くまろやかなお味がします。私はまぐろには金笛が合うと思いました。生醤油の方はお餅とかにつけたら美味しそう。
こんだけ個性の違う醤油が出てくると、来年出来てくる醤油も楽しみです……!
仕込んだ醤油ができたので買ってきた(2019-02-24追記)
昨年2月に見学した際、仕込に参加した醤油が完成し、限定品の「木桶初しぼり」として販売が始まりました!
埼玉県小川町の青山地区に代々伝わる青山在来大豆。
一般的な大豆よりショ糖の含有量が多く、糖質25%と甘味が強いのが特徴ですが市場には流通していない幻の大豆と言われていました。
金笛では、この大豆で醤油をつくるプロジェクトを小川町の有機農家さんたちの協力を得て、2017年にスタート。
大豆の種まきや収穫、醤油の仕込みにお客様にもご参加いただきました。
そして約1年、発酵・熟成させて完成した、こだわりの青山テロワールの醤油です。
ということで、買いに行くことにしました。Web通販もありますが、娘にはやはり「作った醤油を作った場所で買う」という実感をもって欲しいかな、と。
工場に到着。あらかじめ連絡していたところ、少し工場を案内してくださるとのことで、見せて頂きました。
昨年お邪魔した作業場へ。
昨年の桶がそのままに置いてあり、今年も新たに仕込んだとのこと。娘は自分の書き込みを見つけて嬉しそう。
「せっかく来て頂いたので少し混ぜていかれますか?」とカジュアルに訊かれたので、近くの別の桶を娘と混ぜさせて頂きました。こちらは二夏を越す予定の桶だとか。けっこう力がいるので娘だけでは回せません。新しく仕込んで少し経ったくらいが一番硬いとのこと。混ぜるとプツプツと泡が出るのが、発酵が進んでいる証左なのだとか。
昨年の桶の隣にはさらに大きな桶ができていました。昨年の桶は2石桶、こちらの大桶は20石とのこと。昨年工場に並んでいた奴もこのサイズですか?と尋ねたらあれは50石だそうです。デカっ。
この20石桶は埼玉県産の杉で作ってあり、埼玉県産の大豆を仕込む予定で、オール埼玉の醤油になる予定だそうです。
今年は笛木醤油さんの中に「木桶部」を作り、本格的に木桶作りを継承する計画があるそうです。埼玉県内で木桶を使った醤油造りをしている蔵がまだ10蔵ほど残っているそうですが、そうした木桶の修繕も引き受けられるようになるかも……とのこと。
工場付属のお店に戻って醤油を購入。ラベルの青緑の色が綺麗ですね。お土産含めて2.7kg分買ったら重かった(汗) お土産分は通販で買っても良かったかもしれません……。
娘はお店で買ったおかきを帰りのバスでポリポリ。もうすぐお昼ご飯だよ、と言ったらまもなく自分で袋を閉じて食べるのをやめたので偉い! と思ったら、しばらくして「もうちょっと食べたい」と止まらなくなっていました。たしかに美味しい。