月面到着したアポロ12号に続いて計画されたアポロ13号。ところが、アポロ13号は月への往路でアクシデントに見舞われ、酸素ボンベや燃料電池など、ミッション達成に必須の資源の多くを失ってしまう。一つ間違えればたちまち空飛ぶ棺桶になってしまいかねない宇宙船の中、生還を賭けて、3人の宇宙飛行士たちとNASAスタッフたちの必死の努力が始まる。
宇宙空間で突如発生した事故と、それに続く生命の危機。自分たちだけではどうすることもできない3人だが、地上スタッフは彼らを生還させるため、必死のミッションを開始。3人に最大限適切と思われる指示を送り続ける。「俺のミッションで一人の飛行士も失わないぞ!」と檄を飛ばすリーダーがかっこいい。
限られた空気、限られた電力、限られた推力…極限まで切り詰められた資源で、どうやったら3人を地上に生還させられるか。熱い議論と必死の努力を続けるNASAスタッフたち。絶望的な状況の中、大勢の人が叡智の限りを尽くして努力する姿は、感動的だし、夢がある。
宇宙をテーマにした映画はたくさんあるけれど、史実を元に作られた映画は珍しい。映画なので、当然、脚色はあるにはあるけれど、当時のスタッフが多く協力しているせいか、比較的史実に忠実に作られているように見える。荒唐無稽な脚色はあまりないみたい。
普段、私は「本当にあった話」は好きではない。「よくできた物語」というのは、すべての出来事に必然性があり、視聴者/読者を楽しませるための仕組みがある。「本当にあった現実」は視聴者本意にできているわけではないから、盛り上がれるはずのところで余計な事件が起きたり起きなかったり、視聴者にとって不要な情報が含まれることが多い。たとえしかしこの映画に関してはそういう不要な情報も少なく、物語としても普通に楽しめる。
DVD特典映像のメイキングが、けっこう長い映像でたっぷり。実際の宇宙飛行士たちや、NASAスタッフたちが出演していたり、当時の記録映像が見られたり。映画の映像と記録映像を見比べながら楽しめる。
無重量状態(厳密には「無重力」ではない)のシーンのいくつかは、実際にNASAの協力により、無重量状態の中で撮影されたのだそうだ。航空機の弾道飛行による無重量状態。撮影するたびに飛行機はダイヴを繰り返すわけで、撮影も大変だっただろうと思う。そんな中で、集中して演技なんかできるもんかね?
爽やかで、見終わった後で人類の大成功に嬉しくなる、とてもいい映画でした。