Story(物語)

亥の話

あるところに三匹の亥がおりました。 最初の亥は「家を持つ方が面倒だ。旅に出よう」と旅立ち、ジャーナリストとして各地の様子を伝えました。狼はとても追いかけられないと考え、亥を食べるのを諦めました。 二番目の亥は「家を建てる

戌の話

「戌はその夜何もしませんでしたよ」 「それが奇妙だというのです」 探偵は言った。刑事は首を傾げる。 「というと…?」 「侵入者を見つけたら戌は騒ぐはずです。それなのに、まったく騒がなかったということは…」 「そうか! 内

酉の話

酉の話

「酉なんてさ、トリってくらいだから最後になるって決まってるようなもんだろう? 競争すりゃあ犬に勝てっこないさ」と犬。 「結構。」と酉。「そのケンカ受けて立ちやしょう。結果も出ないうちからつべこべ言うのは滑稽ってもんで。こ

未の話

「これより点呼を行う!」整列した未たちを前に、未が言う。「未がぁ一匹!」「未が二匹!」「未が三匹!」「未が……」 「おい、起きろ、おい!」「はっ。ここは一体……?」「お前は点呼で未を数えすぎて、もう三日も昏睡状態だったん

午の話

 走らない午がいた。その午は普通の午のように駆けることをせず、ひとところで跳ね、跳び回り、奇妙な足踏みを繰り返した。仲間の午たちは「あいつ、クレイジーになったんじゃないか」と噂しあった。  午たちはみな規律正しく走ること

巳の話

巳の話

巳の話 巳は己れの尾を噛んだまま、已に数百年も海の底で眠っていた。微睡みながら巳は夢を見た。夢の中で巳は己の尾を噛んだまま、已に数万年も海の底で眠っていた。 微睡みながら巳はふと考えた。自分はどうしてここにこうして居るん

辰の話

辰の話

鯉は滝を上って辰になるというが、実は卯も修行を積んで辰になるという。わしはそれを見たことがある。 ある春の夜、若者が怪我をしていた兎を助けたところ、一週間後の夜、辰が、若者の暮らす小屋に現れた。 「我はもともと辰であった

寅の話

寅の話

年が明けると自分は既に寅と成っていた。しかし、何故こんな事になったのだろう。妻は首を傾げて言った。 初夢に何か悪い夢でも見たんじゃないの。 自分はしょんぼりしながら胃の辺りを押え、昨日見た夢を一つ一つ思い出してみたが心当

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