鏡よ!鏡 我が家で一番ヘンなのは……


■井の中にいれば、それが当たり前になる

大学生の頃に、教育実習で地元の高校に戻った時、びっくりしたことの一つが「自分と高校生活者の情報格差」だった。高校生は、あまりに何も知らなかった。都会の高校ならともかく、宮崎という田舎の高校生にとっては知り得ないことが多すぎる。たぶん、自分も高校生だった頃は、何も知らなかったのだと思う。そんな情報のない状態で、何かを判断し、進路を決めるというのは難しくて、自信を持って正しい選択肢を選べないのもしょうがないな、と思った。
同時に、「高校の先生もほとんど何も知らない」ということに衝撃を受けた。自分が大学生になって戻って来てみると、自分は先生が知らないことをたくさん知っていた。考えてみれば、先生になる人は先生になるために修行をしたのであって、先生以外になった人は一人もいない。だから社会のことも何も知らない。こりゃ、高校生に情報を渡すなんてことができっこないよね。

その後社会人になって、いろんな人と話をしたけれど、「一つの会社でひたすらずっと仕事をし続けた」という人は概ね世間知らずで、自分の立場や会社の位置づけを正しく評価することが出来ない。同世代の人に比べてどんなスキルが足りないか。会社に何が必要なのか。どんなインフラが立ち後れているのか。
むろん一つの会社で仕事を続けることに意味はある。専門のスキルを伸ばすためにはいい。ただ全体のバランスについては見えにくくなるということだ。会社を建て直す時によそから役員を招聘するのは、そういう意味もあるんだろうと思う。

会社とか自分を客観的に確認するためには、情報を集めなければならない。いくつかの商売では、比較的客観的な目を養うことができると思う。要するに、複数の会社に出入りし、いろいろな情報に接する人だ。そういう人に相談したり、話を聞いたりすることで、自分や自分の会社のことをより判断しやすくなる。

  • コンサルティング
  • フリーランス
  • インタビュアー/取材者

私はいくつかフリーランスで会社を見て回ったけれど、やはり会社の雰囲気というものはずいぶん違う。
個人所有の会社だと、社長のキャラは多かれ少なかれ社風に出る。そういった中でも、社長が強烈な個性で社員をコントロールしているところもあれば、要点だけ抑えて後は社員が勝手にやっているところもある。
オフィスの設備やインフラも、会社によって全く違う。そして、違うってことを知っているかどうかが大切。なぜなら、設備が古い会社と設備が新しい会社を比べて見れば、それよりさらに新しい会社があるであろうってことは、容易に想像できるからだ。

■家の中にいれば、それが当たり前になる

実は家庭でも同じようなことが言えて、自分の家が当たり前だと思っていることが、実は当たり前でないことの方が多い。カンのいい人は早めに気づいているし、だいたいの人は結婚をすると嫌でも気がつく。

  • 家政婦
  • 家庭教師

といったような人は、たぶんいくつもの家庭に入って仕事をするので、家の雰囲気の違いというものに敏感だと思う。

個人的には家庭教師をやったことがあるんだけれど、家の違いが如実にわかって面白い。その家の人間はまったく当然として受け入れている何か……が、可笑しい。

ある家では母親が子供のことを「キミ」と呼び、私が授業している隣の部屋で弟を怒鳴りつけながら勉強させ、「お菓子を用意しても好き嫌いがあるので」と1回1000円お菓子代をつけようとし、帰りには「うちのボロ車で送りますから。いや本当に大した車じゃないですがボロ車で……」とコンプレックス丸出しで送賓を申し出る。

ある家ではユーモア感覚たっぷりのお母さんが「ねえ、もういっそ全部お話しちゃいましょうよ」と子供の成績をあらいざらいぶちまけ、子供は子供で素直でのびのびと勉強し、希望の学校に合格した時には「少しですが」と封筒を渡してくれて、仕事に行くのが楽しいような家もあった。

どちらの家も、自分たちは普通だと思っていることだろう!

先日義妹が「実家の箸はマイ箸だった?」ときいてきた。言われてみれば私の実家では自分用の箸が厳密に決まっていて、他人の箸では食べなかった。カミさんの家では箸に貴賤はなく、誰がどの箸を使ってもいいことになっている。今のもがみ家はいつのまにかこの折衷で、夫婦箸や名入り箸は個人用だが、それ以外の箸は区別なく使っている。
「うち(カミさん家)は少数派なんだよー」とアピールする義妹。カミさん家全員が意外そうな顔をしていた。

自分の職場や家庭の特殊性を、いくつ挙げられるだろう?  あまり思いつかないようなら、少し調査してみた方がいいかもしれない。

 

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